最後の一葉(The last leaf 和訳)

オー・ヘンリー(O Henry)作・横田祐訳

ワシントン交差点の西に小さな片田舎で道は狂ったように走り、小さな狭い「場所」に分かれる。 これらの場所は奇妙な角度と曲線を作る。 一つ道が一つか二つ道と交差する。 芸術家がかつてこの通りに価値があると発見した。 恐らく、絵の具や紙やキャンバスの請求書を持った集金者が、 この経路を通ると、突然彼が元の道に戻り、請求書の1セントも回収できない。

だから、風変わりな古いグリニッチ村に芸術家が直ぐに来て、こそこそ動き、北窓と18世紀の破風と オランダの屋根裏と低い賃料を探した。 それから、彼らはブリキのマグカップ数個と傷だらけの皿を1枚あるいは2枚6番通りから持ち込み、 コロニーと成った。

レンガ製のずんぐりした3階建ての最上階でスーとジョンシーが彼らのアトリエを持っている。 ジョンシーはジョアンナの愛称である。 一人はメーンから、もう一人はカリフォルニアから。 彼らは8番通りのデルモニコの定食用テーブルで会った。 そして、芸術とチコリー・サラダと司教の袖に彼らの味がとても嬉しく、 合同のアトリエになった。

それは5月だった。12月に、医者が肺炎と呼ぶ冷たい見えない迷子がコロニーを徘徊し、 其処此処で人を彼の冷たい指で触れた。 東側でこの破壊者が、たくさんの彼の犠牲者を強く打ちながら、傍若無人に早足で歩いた。 しかし、彼の脚は、狭いこけの生えた「場所」を経て、ゆっくり踏み入った。

肺炎氏は貴方が栄誉ある古き紳士と呼ぶものではなかった。 カリフォルニアの穏やかな風で薄められた小さな小さな女性は、 赤い拳で息の短い年老いた馬鹿にとって不公平なゲームだった。 しかし、彼が強く打ったジョンシーは彼女の塗装したベッドの鉄製骨組みの上で横になり、 少しも動かず、小さなオランダ窓ガラスから隣のレンガの家の白い壁を見ていた。

ある朝、忙しい医者がホールを通り、整っていない灰色のまつげのスーを訪れた。

「言わせてもらうが彼女に機会が10に1つある。」彼は言った。 彼が彼の医療用温度計を振って水銀を下げながら。 「そして、その機会は生きたい彼女のものだ。 このように人々は葬儀屋の方に並んで全ての薬学書を馬鹿馬鹿しくする。 貴方の小さな女性は彼女の心に『彼女が良くならない。』と思い込んでいる。 彼女の心に何かありますか?」

「彼女、彼女はいつかナポリ湾を描きたい。」スーが言った。

「絵? 馬鹿な! もう一度聞くが、彼女は彼女の心に考える価値のあるものを持っていますか? 例えば、男?」

「男?」彼女の声に口琴が短く鳴るように、スーが言った。 「男に価値が? しかし、いいえ、お医者さん。そんな事はありません。」

「ああ、それが弱みだ。そして、」医者が言った。 「私は、私の努力でろ過された科学で、できる事を全てやった。 しかし、私の患者が葬式の参列者の馬車を数え始めれば、 私は薬の治癒力から50%割引く。 もし、貴方が彼女に新しい冬の服装(袖なし)について質問させれば、 私は貴方に『彼女の機会が10に1つではなく、5つに1つ』と約束しよう。」

医者が去った後、スーがアトリエに入り日本ナプキンがパルプになるまで泣いた。 そして、彼女はキャンバスを持ち、ラグタイムを口笛で吹きながら、ジョンシーの部屋に堂々と入った。 彼女が眠っていると思ったから、スーが口笛を止めた。

彼女が彼女のキャンバスを整え、ペンとインクで雑誌の挿絵を描き始めた。 若い芸術家は芸術の為に、雑誌の挿絵を描いて食っていくべき。 若い著者が文学の為に、食っていくように。

スーが上品な乗馬ショーでズボンと片眼鏡を着けた主人公(アイダホのカウボーイ)の絵を下書き していたら、繰り返された低い音を数回聞いた。 彼女は直ぐにベッドのそばへ行った。

ジョンシーの目は広く開いていた。 彼女は窓の外を見て、数えていた。逆に数えていた。

「20」彼女が言った。そして暫く「11」そして「10」そして「9」そして「8」そして「7」殆ど同時に。

スーが心配そうに窓の外を見た。 そこに数えるものがあるか? そこには裸のつまらない空き地だけ見えた。 そして、20フィート遠くレンガの家の白い壁。 古い、古い、ねじれて、根の腐った葡萄のツタが、レンガの壁を半分登った。 秋の冷たい風が、ほとんど裸だが、その裸の枝が少し崩れたレンガに固定されるまで、 その葉をツタから打ち落としていた。

「ねえ、それが何なの?」スーが尋ねた。

「6」殆ど呟きの様にジョンシーが言った。 「それらは今、落ちるのが早くなった。 3日前は100位あった。 それらを数えるのは私の頭を痛くした。 しかし、今は簡単よ。 もうひとつ落ちた。 今5だけ残った。」

「5が何。ねえ。貴方のスーディーに教えて。」

「葉よ。葡萄ヅタの。最後の葉が落ちれば、私も行くのよ。 三日前から知っているの。医者が貴方に教えなかった?」

「ああ、私はそんな無意味を聞かなかった。」素晴らしく見下し、スーが文句を言った。 「古いツタの葉が貴方の健康に関係するの? そして、貴方はあんなに葡萄を愛していたのに、いけない子。 馬鹿なことを言わないで。 何故、医者が今朝私に貴方が直ぐ良くなる機会は、彼が言ったとおりに、1に10と言ったわ。 それは殆ど、私たちが路上電車に乗ったり新しい建物を背に歩く、 ニューヨークで掴める最高の機会よ。 さあ、ちょっとスープを飲みなさい。 そして、スーディーに絵を描かせて。 彼女が編集者にそれを売って、彼女の病気の子供にポートワインを買い、 野心的な自分に豚のバラ肉を買うわ。」

「貴方がもうワインを得なくてよい。」窓の外に目を固定して、ジョンシーが言った。

「もう一つ散った。いいえ、私はスープが欲しくない。葉が4枚ちょうど。 私は最後の一葉が落ちるのを暗くなる前に見たい。そして、私も行く。」

「ジョンシー、ねえ。」彼女の上に屈んで、スーが言った。 「私の仕事が終わるまで目を瞑って窓の外を見ない、と私に約束して? 私は明日までこの絵を書くべき。私は光がいるの。 そうでなれければ、私がシェードを下ろす。」

「ほかの部屋で描いて下さい。」ジョンシーが冷たく頼んだ。

「私はここで貴方と一緒に居たいの。」スーが言った。 「でも、貴方に馬鹿げたツタの葉を見てほしくない。」

「終わったら、直ぐに教えて。」目を瞑ってジョンシーが言った。 そして、白いベッドに横たわり、落ちた像のように動かなかった。 「何故なら、私は最後の一葉が落ちるのを見たいから。 私は待ちくたびれた。私は考えるに疲れた。私は全てのものに対する執着を緩めたい。 そして、沈みたい。儚い疲れた葉のように。」

「眠ろうとしなさい。」スーが言った。 「私は隠居した年老いた坑夫のモデルになるベアマンを呼ぶべき。 一分も掛からないわ。私が戻るまで、動こうとしないで。」

年老いたベアマンは彼らの下、1階で住む絵描きだった。 彼は60才を過ぎて、マイケル・アンジェロやモーセに似た、半人半霊の頭から巻いて落ちる髪を持っていた。 さらに小悪魔に似た体を持っていた。ベアマンは芸術に失敗した。 40年、彼は女物のローブの裾を少しもブラシに触れず力を溜めていた。 彼はいつも傑作を描くと言った。しかし、まだそれを始めない。 数年、彼は何も描かなかった。そのときも今も経済雑誌や広告の詰まらぬ絵を除いて。 彼は仕事人の値段を払えないコロニーの若い芸術家たちにモデルとして勤め、少し稼いだ。 彼は過剰にジンを飲んだ。そして、まだ彼の次の傑作について語った。 残りは彼が精力的な小さな老人であり、人々の軟派をひどく嘲(あざ)笑い、 上のアトリエで若い芸術家を二人守る特別な番犬と彼自身を認めた。

スーが薄暗い階下の部屋で強いネズの実の匂いのするベアマンを見つけた。 一端の画架に、25年、傑作の最初の線を待った白いキャンバスがあった。 彼女は彼にジョンシーの妄想を教えた。 そして、彼女が恐怖したことに、微かに弱っていく世界の上に彼女が持ち上げられ、 葉のように軽い、か弱い彼女が浮かんで行った。

年老いたベアマンは、ただ浮かんでいる赤い目で、彼の気持ちを叫んだ。 「そんな想像は馬鹿げている。」と。

「ばか!」彼は叫んだ。「風を受けたブドウから葉が落ちたら、 死という馬鹿馬鹿しいことを受け入れる人が一体いるのか? 私はそんなことを聞かなかった。 いいや、私は貴方の馬鹿な隠居のモデルにならない。 貴方は馬鹿な仕事を彼女の脳に入れるのか? ああ、可愛そうな小さなジョンシー嬢。」

「彼女がとても病んでいて、弱っている。」スーが言った。 「そして、熱が彼女の精神を自殺的願望とたくさんの奇妙な妄想に追いやった。 良く分かりました。ベアマンさん。もし、貴方が私にポーズしないなら、貴方は要らない。 しかし、私は貴方が不快な年老いたじじいだと思う。」

「貴方は女そのものだ。」ベアマンが叫んだ。 「誰が『私がポーズをとらない。』と言った? 行こう。私は貴方に付いて行く。 半時間、『私はポーズをとる準備ができた』と言いたかった。 ああ。これは良きジョンシー嬢が病で寝る所ではない。 いつか、私は傑作を描く。そして、私たちはどこか行く。絶対に。」

彼らが階段を上ったとき、ジョンシーは眠っていた。 スーがシェードを窓敷居まで下げ、ベアマンに他の部屋に入るよう促した。 そこで彼らは窓の外で恐る恐るブドウのツタを見た。 そして、彼らは黙って暫く見合った。 冷たい雨が降り、残った一葉が雪にまみれた。 ベアマンは古い青いシャツを着、彼の席を隠居した、逆さのやかんを持って岩に向かう坑夫に見せた。

スーが1時間の眠りから目覚めたとき、次の朝だった。 彼女は、ジョンシーが退屈な大きく開いた目で下ろされた緑のシェードを見つめるのを見た。

「開けて。私は見たい。」彼女は呟いて命令した。

聞き飽きたようにスーが従った。

しかし、どうだ!雨が打ち力強い嵐が吹いても、ツタの葉は一つ一晩耐え、尚レンガの壁に付いていた。 それはブドウの最後の一葉だった。 暗緑色で茎に近かった。しかし、その黄色く色あせたぎざぎざの端が、 地面から20フィート上で勇敢に枝から垂れていた。

「それは最後の一葉よ。」ジョンシーが言った。 「それが確かに夜の内、落ちると思った。風(の音)を聞いた。 それは今日落ちる。そして、私も同時に死ぬ。」

「どうか。どうか。」疲れた顔が枕に寄りかかって、スーが言った。 「私を考えて。もし、貴方が貴方自身を考えなければ。私に何をしろと言うの?」

しかし、ジョンシーは答えなかった。世界で最も孤独なことは、 不思議な長い旅に旅立つ準備ができた精神だ。 妄想は段々と彼女をもっと強く支配した。友人との繋がりと地球との繋がりは緩くなった。

日は薄くなり、黄昏の光を通して、彼らは壁の茎にしっかりと付いたブドウの一葉を見れた。 そして、夜が来て、北風は再び始まった。そして、雨はまだ窓を打ち、 低いオランダひさしから、ざあざあと落ちた。

十分に光があるとき、ジョンシーは残酷に「シェードを上げろ」と命令した。

ツタの葉はまだそこにあった。

ジョンシーが長い間寝て、それを見た。 そして、彼女はガス・ストーブの上でチキンスープをかき混ぜていたスーを呼んだ。

「私は悪い子だったわ。スーディー。」ジョンシーが言った。 「私の悪さを見せる為に、神が最後の葉をそこに留めた。死にたいと思うのは罪だわ。 さあ、私にスープとポート入りの牛乳を少し持ってきて。そして、いいえ。 先ず私に手鏡を持ってきて。そして、私の枕を詰めて。そして、座って、貴方が料理するのを見るわ。」

1時間後彼女が言った。

「スーディー、いつか私がナポリ湾を描きたい。」

午後に医者が来て、スーが玄関に彼を送りに行った。

「機会は2分の1。」医者が言った。スーの細い手と握手しながら。 「よい看護で貴方が勝つ。そして、今私は階下の患者を一人診るべき。彼の名はベアマン。 ある種の芸術家だと私は信じている。彼も肺炎だ。彼は年寄りで、弱い男だ。攻撃は深刻だ。 彼は助かる見込みがない。しかし、彼は落ち着くために今日病院へ行く。」

次の日医者がスーに言った。「彼女は危機から脱した。貴方が勝った。今は栄養と看護が大事だ。」

そして、その午後、スーがジョンシーの寝るベッドに来て、 真っ青な幸せな編み物とつまらぬ羊毛の肩掛けを着て、彼女と枕の周りに腕を置いた。

「私は貴方に教えるべき。白いねずみさん。」彼女が言った。 「ベアマンさんは今日病院で、肺炎で死んだわ。 彼は2日だけ患ったの。管理人が最初の日の朝に彼の階下の部屋で、とても苦しそうな彼を見付けた。 彼の靴と衣服は氷のように冷たく濡れていた。 彼らは彼がひどい晩にどこでいたか、想像できなかった。 そして、彼らはまだ光っているランタンとその場所から引きずられた梯子と散らかったブラシと 緑と黄が混ざったパレットを見つけた。 窓の外を見て。ねえ。壁に付いた最後のツタの葉を。 風が吹いてもそれが動かなかった。不思議に思わなかった? ああ。それはベアマンの傑作よ。彼は最後の一葉が落ちた夜、そこにそれを描いたわ。」

終わり。
トップページに戻る。

inserted by FC2 system